公的年金は世代間扶養
現在、公的年金は、「世代間扶養」という仕組みを採用しています。会社員や公務員、個人事業主など働いている現役世代の保険料で、高齢者の年金給付をまかなっているのです。
この世代間扶養の形式は、現在の少子高齢化のような人口構造の変化の影響を受けやすく、世代間の不公平というものがしばしば議論されます。
年金積立金の存在
現在のような高齢化社会を迎える以前は、年金受給世代の方が現役世代よりも少なかったため、納められた保険料のうち、年金受給に充てられなかった分が、将来の年金支給のために積み立てられています。
これが公的年金における積立金であり、GPIF(年金積立金運用ファンド)が運用をしています。
このGPIFによる運用が効率的になされ、資産残高を増やすことが出来れば、年金財政を助けるものとなるのですが、近年は、資産を増やすどころか、逆に、毎年5~6兆円の取り崩し(2009~2013年の5年間の取り崩し総額は約30兆円)が発生しているのです。
GPIFには、平成27年末時点で約134兆円の残高がありますが、仮にこのままのペースで取り崩していくと、約30年で積立金は枯渇してしまうのです。
公的年金の将来
このように、公的年金制度の財政状況は極めて深刻な状況にあります。
現役世代の方の中には、今の年金制度はきっと破綻して将来は年金をもらうことができないだろうから、年金保険料を払う必要はないと思っている方もいるようです。
ただ、年金制度が破たんするということは国家が破たんするといっても過言ではないことから、政府は税金をつぎ込んででも制度を破たんさせることはないと考えられます。
しかし、保険料率や受給開始年齢の引き上げ等、制度自体の大幅な改正が行なわれるのは間違いないでしょう。
今後は、公的年金だけで老後の生活費をまかなうのは非常に難しい時代が訪れると思われますから、若いうちから公的年金では足りない分をカバーできる準備をしておくことが必要であると思われます。